四十肩

四十肩(五十肩)とは、

肩関節の周りに炎症が起こり、スムーズに動かなくなる症状のことです。
そもそも四十肩という病名は存在しません。正式には肩関節周囲炎という名称になることがほとんどです。日常会話の中で使われる「俗称」という位置づけです。「肩こり」や「ぎっくり腰」などと同じような用語になります。四十肩 (五十肩) の原因は、具体的には腱板というインナーマッスルのスジに炎症が起こっている腱板炎であったり、力こぶの筋肉である上腕二頭筋の一部のスジに炎症が起こっている上腕二頭筋長頭腱炎であったり、肩の前方の膜や靭帯からなる部分に炎症が起こったりします。

なぜ四十肩 (五十肩) は炎症が起こったり、癒着が起こってしまうのか?

その原因は複雑です。いろんなことをおっしゃる先生や治療家の方がおられます。結論から言うと「原因は明らかではない」ということです。

なってしまったものは仕方ない。治しましょう。

症状

四十肩 (五十肩) というのはほとんどの場合「炎症期→凍結期→回復期」という順番で、変化改善していくと言われています。

最初は強い炎症による痛み→痛みが減って関節がカタくなる(拘縮)→拘縮が回復していく。という流れです。これが典型的な四十肩 (五十肩) として説明されていますが、経験上、この典型的な症状に沿って進んでいく方が全てではありません。最初から痛みは強くない方、痛みが強い時期からなかなか抜け出せない方、強い拘縮を起こして日常生活が不便になる方、痛みはあっても肩の可動域は十分保たれている方。と様々です。

炎症期

どこに動かすのも痛い時期。

患部が発熱していることが多いので、アイシングをしていると楽なことが多いです。この時期の治療方針としては周囲の関節、筋肉を緩める施術を中心に行います。周囲の可動域が生まれると患部に動く猶予が生まれるので症状は多少軽くなります。また、患部にはマイクロカレント治療を行います。これは微弱電流を使い身体の中のイオンバランスを整えることにより炎症を沈め、回復を早める電気になります。電気が流れていることに気づかない患者様がほとんどです。また、消炎鎮痛の湿布を張るのも有効です。薬剤の効果は同じなのですが、たぶん冷湿布の方が体は気持ちいいと感じると思います。

日中は三角巾などで腕を吊るのも楽になることがあります。そして夜間は特に痛みが増す時期です。仰向けで寝始める時:痛い方の腕、肘の下に柔らかいクッションを置くことで、そちら側に寝返りが打ちにくくなりますし、腕も背中側に落ちなくなりますのでオススメです。
横向きで寝る時:痛くない方の肩を下にして、背中側に大きめのクッションを置いて、さらに、お腹側にもクッションを置いて、そのクッションを抱えるようにすると痛みが出にくい傾向があります。

拘縮期~回復期

強い炎症が落ち着いて、ある程度の痛み(完全に痛みが消失している必要はありません)になった段階で、多くのケースでは肩の関節可動域制限があります。肩が挙がらない、回らない方向がある、「カタい」状態です。この「カタい」状態はそれ自体が動かした時の痛みの原因にもなります。

リハビリとして行うのは可動域を拡げていくことになります。その作業は大抵は痛みを伴います。それでも挙がらない限界を攻めていく、回らない限界を攻めていくことによって可動域は拡がっていきます(とは言え、痛みがある肩は可能な限り力を抜くことが大切です。呼吸を止めると筋肉は緊張するので、深呼吸しながらやりましょう。)

周囲の関節・筋肉の緊張をマッサージやハイボルテージ治療器を使うことで緩め、拘縮部位にピンポイントで鍼を使用することもあります。これにより可動域を確保していきます。血流不足と判断したら患部にお灸や超音波治療器を使うこともあります。

肩の可動域が拡がり、硬い状態が改善されてくれば、その後、痛みも改善していくことが多いのですが、どうしても可動域が拡がらないという方は関節包に癒着が起きていることが多いです。俗にいう「剝がしていく」という治療が必要です。クリニックではヒアルロン酸注入したり、内視鏡で癒着を切開するのだと思います。当院は鍼灸院なので、脊柱・鎖骨・肩甲骨などの肩周囲の関節可動域を鍼灸やマッサージで出して周囲の筋緊張を緩め、その日のギリギリのところまで可動域を出していきます。その時拘縮している部位を抑えながら動かす場合もありますので、多少痛みは伴います。その時には呼吸を止めずに深呼吸をしていただく方が副交感神経が優位に働くので筋肉は緩みやすいです。伸びていくときに息を吐くようにしましょう。

一気に剥がすのをスタイルとしている治療家の方もいますが、個人的には複数回に分けて施術した方が安全と思っていますので、徐々に可動域を改善していくようにしていきます。

回復までの期間

数ヶ月で回復する方もいますが、1年~2年、またはそれ以上完治までかかる方もいます。一口に四十肩 (五十肩) と言っても、様々な症状がありますので、クリニックでも、治療院でも状態に応じた根本治療を相談されることをオススメします。

関連記事

  1. 実は疲労溜まってきてませんか?

  2. 男性美容鍼ビフォーアフター

    男性もやると驚く美容鍼

  3. 注射針と鍼灸の鍼は見た目も違えば役割も違います