急性痛と慢性痛

急性痛とは

  • 急性痛は、急な外傷や病気などによって発生する痛みです。
  • 基本的には一過性で局所的な痛みであり、ケガや病気が治ると痛みもなくなります。
  • 急性痛は身体の異常を知らせるシグナルとして重要な役割を果たしています。

急性痛の特徴

  • 組織の損傷によって起こる。
  • 痛みの原因が明確。
  • 生体に生じた危険を警告信号として伝え、危険からの逃避や損傷組織の修復など、生体防御反応の機能や働きを活発にさせることにつながります。
  • 正常(生理的)な痛みであり、病状の安定や組織損傷の治癒に伴い緩解することが多いです。

注意点

  • 間違った判断の下で急性痛を過度に無視すると、慢性痛に移行する可能性があるため、適切な知識を持つことが重要です。

慢性痛とは

  • 国際疼痛学会では慢性痛を「急性疾患の通常の経過、あるいは創傷の治癒に要する妥当な時間を超えて、長期(3か月または6か月)にわたって持続する痛み」としています。
    「3か月または6か月」と期間に幅があるのは、ケガや病気の程度、損傷したのがどの組織か、あるいは個々人の栄養状態などによって、治癒にかかる時間に差があるからです。
    一般的には急性痛から3か月以上続く状態を慢性痛と表現します。
  • 慢性痛は神経や脊髄の損傷、心理的・精神的な要因によって引き起こされることがあります。

慢性痛の特徴

  • 「一定期間以上、持続して生じている痛み」を慢性痛と表現する。
  • 痛みが組織損傷の程度と釣り合っていない場合が多い。
  • 運動をしない、不活動によって起こる弊害(症状)があり、適切な運動が重要です。

注意点

  • 慢性痛を有する人々の中には自分の体の状態に不安がありネガティブになっている方は、適切な運動を実施すると楽になることがあります。
  • 運動が悪化する慢性痛も存在するため、個々のお身体の状態に合わせたアプローチが必要です。
  • 誤って指を切った程度のケガと、病院で何針も縫うようなケガでは、治癒に要する時間が異なります。

痛みは個人差がありますが、適切な知識とアプローチで痛みの管理を行うことが大切です。

慢性的な痛みは脳の誤作動の可能性

慢性痛の一部は、脳や脊髄の神経系が過敏になることによって引き起こされます。
これは「中枢感作化」と呼ばれ、神経伝達物質のバランスや神経回路の変化によって生じます。
中枢感作化により、痛みの閾値が低下し、軽微な刺激でも痛みを感じやすくなります。
脳の誤作動と心理的・社会的要因が相互に影響し合って、慢性痛が継続することがあります。

鍼灸治療は慢性痛の改善に効果があるとされています

鍼灸治療のメカニズムと効果

神経系の調整

鍼灸治療は神経系に働きかけます。経絡やツボに鍼を刺すことで、神経の興奮や過敏性を抑制し、痛みの緩和を図る効果があります。神経系のバランスを整えることで、痛みへの過敏な反応を軽減すると言われています。

血流改善

鍼灸の刺激によって、自然治癒力が活性化し、血行促進、鎮痛物質放出、自律神経の調節などが起こります。
鍼灸刺激により、筋肉内の血管を拡げる反射(軸索反射)が起こります。それにより血管が拡張し、局所的な血流改善が促されます。新しい血液が筋肉内に入り、酸素やエネルギー物質のおかげで筋肉は緩み、痛みが緩和されます。

鍼灸による神経系の調整や血流改善により、内臓の働きが良くなり、慢性痛に対する総合的なアプローチをサポートしてくれます。
厚生労働省では、慢性痛に対して鍼灸治療を支持しており、適切な施術者によって行われる場合、安全で効果的な選択肢となります。ただし、個々の状態に合わせたアプローチが重要です。


参考
https://www.ejim.ncgg.go.jp/pro/overseas/c02/01.html
急性痛と慢性痛(+違い) – リハ事典+. https://physioapproach.com/blog-entry-448.html.
急性痛とは何か?その特徴と注意点|痛みの基礎知識|痛みwith. https://www.healthcare.omron.co.jp/pain-with/basic-knowledge/acute-pain/.
急性痛と慢性痛の違い 【鍼灸師が執筆・監修】. https://harikyu-ichigo.com/acute-pain.chronic-pain.html.
痛みの神経科学②~急性痛と慢性痛の違い~|imok Academy. https://imok-academy.com/difference-between-acute-pain-and-chronic-pain/.

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